初めて税理士に仕事をお願いする場合、皆さん誰しも不安があると思います。税理士の立場として、税理士を選ぶ上での3つのポイントをご紹介させていただきます。
ご参考にしていただけますと幸いです。

ポイント① 税理士を探している理由と、税理士が提供しているサービス・料金がマッチしているか

まず最も大事なことは、ご自身が何を目的として税理士を探しているかを明確にされることです。税理士を探すことになったきっかけには以下のように色々な理由があると思います。

  • 確定申告だけを安くやってほしい
  • 開業することになったので顧問税理士を探している
  • 領収書の整理が大変なのですべて丸投げしてやってほしい
  • クラウド会計を導入してみたい
  • 毎月訪問してもらって節税対策などを相談したい
  • 法人成りを検討している
  • 相続や事業承継などをお願いしたい
  • 税務調査がくることになったので相談したい
  • 創業融資の相談をしたい

税理士にも、それぞれ売りにしている業務とそうでない業務があり、例えば、相続専門の税理士に確定申告のみを依頼したり、低価格を売りにしている税理士に毎月訪問での打ち合わせを求めたりしてしまうと、結果として相場よりも割高になってしまったり、サービスの質があまり良くない、という事が起こりえます。

私見が入りますが、税理士を探している理由とそれにマッチする税理士をご参考にお示しすると以下の通りです。表にない内容(開業支援、法人成り検討、会社設立等)については、まず表の中でおススメの税理士タイプを参照してもらい、その中から必要なサービスを提供している税理士をお選びいただければ問題ないと考えています。

税理士を探している理由おススメの税理士のタイプメリットデメリット
・確定申告だけお願いしたい

・領収書の整理など経理負担減少が主な目的

・年商3,000万円未満
低価格の税理士・低コスト・定期的な訪問はない、または少ない

・オプションを多くつけるとかえって割高になることがある

・専門性の高い内容をお願いしたい(例:相続、事業承継、M&A等)


専門分野に特化した税理士

・専門分野に関しての知識・経験が豊富

・専門分野以外のサービスを受け付けていない、又は割高になることがある

・毎月面談したい

・積極的な節税提案が欲しい

・経営相談したい

業種特化の税理士

・専門業種に関しての知識・経験が豊富

・高コスト

・コストに見合った相談・節税等ができているか定期的に見直す必要がある

・クラウド会計を導入したい

・クラウド会計ソフトを使ってる

クラウド会計に特化した税理士

・クラウド会計に関しての知識・経験が豊富

・対応していない、対応に消極的なことがある(特に昔からの会計事務所)

・他の会計ソフトが使えない

・税務調査対応

現在関与している税理士(いない場合は税務調査特化の税理士)

・経理処理の内容やポイントを理解しているため、話がスムーズ

・必ずしも税務調査対応が得意とは限らない

ポイント② レスポンスの早さ、丁寧さは十分か

一般の企業にお勤めだった方や、経営者の方々には信じられないかもしれませんが、税理士業界は(会計士業界もですが)レスポンスが遅い方が多い印象があります。もちろん確定申告の時期など、やむを得ない時もありますが、長くお付き合いをしていくにあたってはやり取りにストレスがない事は非常に重要です。
実際に税理士交代の理由でお聞きした話ですが、何度電話をしてもメールをしても受付の事務にしか繋がらず、伝言しておきますと言われたきり半年以上も音信不通といった事例が実際に存在しています(その方は音信不通のまま顧問税理士を交代されました)。

また、レスポンスの早さだけでなく丁寧さも重要なポイントです。質問などをした際に、ちゃんと質問の意図をくみ取った回答が返ってくれば問題ないですが、説明不足だったり、見当違いの回答がきてしまうと、いくらレスポンスが早くても結局、二度手間、三度手間になってしまいます。

レスポンスの早さ・丁寧さは、実際に業務をお願いする前にお問い合わせをした段階である程度分かりますので、お問い合わせの段階でレスポンスが遅い、やり取りした感じがかみ合わないと感じられるような場合には、別の方を探されることをおススメします。

ポイント③ 最終的には相性が合うか

税理士として必要十分な実務能力を持っていることを前提とすると、目的に合ったサービス・料金が提供されており、レスポンスの早さ・丁寧さに問題がなければ、最終的には担当者との相性が合うかというのが重要なポイントです。
税理士とひとことで言っても本当にいろんなタイプの方がいます。

男性なのか女性なのか
ベテランなのか若手なのか
コミュニケーション能力が高くて話がうまいタイプなのか寡黙だけど黙々ときっちり仕事をしてくれるタイプなのか
ITツールを活用するタイプなのか紙資料でやりとりするタイプなのか
毎月決まったタイミングで面談するタイプなのか電話・メール・ビデオ会議等でタイムリーにやり取りするタイプなのか
大規模事務所なのか小規模事務所なのか

これらは一長一短があるため、一概にこういうタイプがいいというものはありませんが、継続的にやり取りすることを考えると、ご自身がやりやすいタイプを選ぶことをおススメいたします。特に、聞きたいことが聞きづらかったり、要望を伝えづらかったり感じてしまうような場合は税理士に仕事をお願いするメリットが半減してしまいますので、ご注意いただければと思います。

もし失敗したなと思っても、探し直せばいい

一見、非の打ちどころがない税理士に出会えたと思っても、いざお付き合いを始めてみると、「あれ、なんか違ったかな・・・?」と感じてしまうこともあると思います。
もしそんな時は、思い切って税理士を変えてしまえばいいのです。

格安を売りにしている税理士の中には最低契約期間(携帯会社みたいですね…)を設けている場合もあるようですが、ほとんどの場合はそのような縛りはなく、初期費用や解約金もかかりませんので、税理士交代をしたからといってコストが余計にかかるという事は基本的にはありません。もちろん、税理士交代するためには色々調べたり話を聞いたりする必要があるため、時間は余計にかかってしまいますが、失敗したと思ったら税理士は変えてしまえばいいと考えるだけで、心理的な負担は軽くなるのではないでしょうか。

あなたが本当の意味で「納得」できる税理士に出会えることを心より願っております。